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住宅建築などに使用される木材は、伐採したものをそのまま使用できません。木材を長持ちさせるため、また木材の歪みや変形を防ぐために、何らかの手段で木材を乾燥させる必要があります。ここでは、注文住宅に使用される木材の人工乾燥と天然乾燥について解説します。
木材の乾燥方法には、大きく分けて人工乾燥と天然乾燥があり、それぞれメリット・デメリットがあります。人工乾燥では、さらに低温・中温・高温・高周波で乾燥させる方法に分かれており、それぞれに特徴があります。
人工乾燥は、空気を加熱・除湿できる設備や、電子レンジのような高周波で熱を加える設備で木材を乾燥させます。低温での乾燥では、温度は30~50℃程度、約半月~1ヶ月程時間がかかります。高温での乾燥では、温度は90~120℃程度、2~3日で乾燥が終了。高周波で熱を加える設備では1日で乾燥できます。
人工乾燥のメリットは、短期間で含水率を低下させ、しっかりと乾燥できることです。建材として木材を使用するには、木材の含水率を20%以下にする必要があります。
しっかり乾燥できていないと乾燥していく過程で歪みや変形が起こり、木材の寸法が変わってしまい、住宅建築を行う上では気密性が損なわれるなどの不具合が生じてしまいます。人工乾燥ではこうした心配がほとんどありません。また、カビや腐朽菌が発生したり、虫害にあったりするのも防ぐことができます。
人工乾燥のデメリットは、設備を用意するのに費用と場所が必要なことと、木の持つ風合いが失われてしまう場合があることです。高温で乾燥させるほど短期間で乾燥できますが、木の持つ風合いが失われ、内部割れや変色などがおこるリスクもあります。
天然乾燥では、木を伐採した後、木材を屋外で半年以上乾燥させ、さらに屋内に移動し半年以上乾燥させます。天然乾燥のメリットは、木材を乾燥させる場所は必要になるものの、設備投資がほとんど必要ないことです。
また、木材や環境に負荷をかけない方法なので、木材の風合いを損なうことなく、内部割れや変色のリスクも少ないのが特徴です。自然の力で時間をかけてしっかりと乾燥できた木材は、粘りがあり硬く、人工乾燥の木材と比較して強度もあります。
天然乾燥のデメリットは、乾燥に時間がかかることと、木の使用部位や形状によっては内部まで含水率を下げられないこと、乾燥時間や含水率をコントロールしにくいことです。しっかりと内部まで乾燥できていないと、歪みや変形が起こることもあります。
また、カビや腐朽菌の発生や虫害を避けられないこともあります。このため木材が無駄になってしまう場合があること、乾燥に時間がかかることから、コスト的にも割高になります。
人工乾燥か天然乾燥なのかの見分け方は、木材の表面の風合いや、色・香りなどで判断できます。天然乾燥では、木の自然な風合いを残したまま木材を乾燥できるので、木が本来持っている色・艶・香りが残っています。無垢材を使った注文住宅を建てて、木の色・艶・香りを楽しみたいと考えるのであれば、目に見える部分には天然乾燥の木材を使用するのがよいでしょう。
木材の乾燥方法には、大きく分けて人工乾燥と天然乾燥あり、それぞれメリット・デメリットがあります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、予算と合わせてじっくり考えたうえで、どちらを使用するが決めるのがよいでしょう。