注文住宅に使用される木材の樹齢について

一説によると、「木を伐採後にどれだけの期間使えるか」はその木の樹齢に比例するといわれています。例えば、古い歴を持つお寺や神社、古民家などの骨組みには、樹齢の長い、良い木材が使われていることがほとんどです。
なぜ樹齢が長い木が長く使えるかということですが、木は樹齢が高くなるほどにヤニを多く含むようになります。このヤニは木の油分であり、油分を多く持つ木は粘り気があるため長持ちします。さらに、ヤニには防腐・防虫効果があるといわれていますので、このヤニを多く含む木の方が、長く使用できると考えられるのです。

「樹齢100年の木は、伐採して材木にした場合には100年使える」という表現をされることもありますが、この点については少し注意が必要です。木がどれだけの期間使えるかは、使用環境やメンテナンスの状態に左右されますので、しっかりと管理されていれば長い期間使える、ということを表している、と考えておくと良いでしょう。
そのため、樹齢100年のヒノキを伐採して作った材料の場合、使い方を間違わず、しっかりとメンテナンスをしていくことによって100年以上長持ちさせられることもあります。しかし逆に木材が腐ってしまう条件が揃ってしまった場合には、たとえ樹齢が長い木だったとしても、虫食いが起きたり材質が劣化してしまうケースもあるのです。
酸素・温度・水分・栄養といった4つの条件が一定時間以上揃った場合、木材が腐朽してしまうとされています。そのため、雨漏りや結露を起こさないようにすること、そして外回りや水回り、床下などを湿った状態にしないように定期的に点検やメンテナンスを行っていくことが大切といえるでしょう。逆に点検やメンテナンスを怠っていると、知らない間に腐朽が進んでいるといったことにつながりかねませんので、注意が必要です。

近年では、スギであれば樹齢35年、ヒノキであれば樹齢40年前後のものでも建材として使用されるようになっていますが、一般的に樹齢20年から30年ほどのいわゆる「若い木」の場合には、まだ成長過程であることから材木として適さないと考えられています。また、「構造材として使用する木材は、樹齢50年以上のものを」としているところもあります。
若い木の場合には、製材を行った時に水が多く出てきます。逆に樹齢が長い木を製材した場合にはヤニが出てきますが、前述の通りヤニが多い木の方が長持ちすると考えられています。また、年輪が中心部に向かって細かくなっているものの方が高い強度を持つことから、樹齢の長い木の方が一般的に長持ちする、といえるのです。

木の樹齢は、伐採して製材した後にどれだけ長く使えるかといった点に大きく関わってきます。しかし、樹齢だけではなく、どれだけ点検やメンテナンスを行うか、といった点も材木として使える期間を考える上では重要です。この点をしっかりと押さえておくことが、家を長持ちさせるために大切なポイントといえるでしょう。